リーダー行動50についての調査と考察(1)

■はじめに

私ども、株式会社トレイクでは、管理者・職場リーダーに必要な「50のリーダー行動」について、書籍化するとともに、「診断ツール」を開発しました。

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このたび、この診断ツールを使い、キーパーソンの50のリーダー行動について、調査を行いました。(※キーパーソンとは、管理者を補佐し、また、次の管理者として活躍が期待される方)

調査対象は次の2つ。

①キーパーソン自身のリーダー行動(キーパーソンにとっての自己診断)
②キーパーソンからみた上司=管理者のリーダー行動(キーパーソンによる他者診断)

この調査の結果と考察を、シリーズで紹介します。

■調査内容

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調査期間:2018年年10月1日~11月30日
調査場所:企業の研修会場、大学授業等
調査対象:企業等の職場リーダー、社会人学生等 355名
調査方法:質問式アンケート調査(50設問)
調査項目:下記詳細

リーダーに必要な行動を、以下に示す3つの分野から計50個抽出して調査項目とする。各項目は5段階で評価する。

▼分野1……影響をあたえる(リーダーシップ、コミュニケーション)

信念、役割認識、権限の行使、決断、任せる、率先垂範、取りまとめ、上司の補佐、前向き、説明、説得、合意形成、質問、傾聴、見える化、報連相、褒める、叱る(以上18種類)

▼分野2……事をなす(目標設定、目標達成活動、問題解決)

状況把握、ビジョン形成、目標設定、役割分担、連携体制づくり、実行計画、資源の活用、活動の推進、評価、改善、調整、問題発見、課題形成、原因分析、解決策の立案、リスク管理(以上16種類)

▼分野3……人をいかす(メンバーの指導・育成、チームづくり)

育成目標の設定、OJT計画の立案、動機づけ、ティーチング、コーチング、OJTの評価、キャリア開発の支援、目的共有、チームの約束事、雰囲気づくり、働きやすい環境づくり、助け合い、相乗効果、意識改革、多様性の受容、コンプライアンスの遵守(以上16種類)

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■調査結果と考察

それでは、調査結果と考察に入ります。

まず、①キーパーソン自身のリーダー行動、②キーパーソンからみた上司(管理者)のリーダー行動それぞれについて、5段階で評価し、その値を平均化しました。

■上位20項目(キーパーソンと管理者の両者平均)

キーパーソンと管理者の両者を平均化した上位20項目には、目立った特徴があります。

「影響をあたえる」が非常に多く(13項目)、「事をなす」(4項目)および「人をいかす」(3項目)を大きく上回っています。

さらに、上位15項目に絞り込むと、「影響をあたえる」が10項目もあります。

このことから、”リーダーシップ”と”コミュニケーション”についての行動を強く発揮しているといえます。

順位 リーダー行動 両者平均
1 報連相 3.59
2 コンプライアンスの遵守 3.53
3 前向き 3.50
4 決断 3.39
5 説明 3.38
6 信念 3.38
7 権限の行使 3.37
8 助け合い 3.34
9 状況把握 3.33
10 任せる 3.33
11 上司の補佐 3.33
12 褒める 3.28
13 役割認識 3.23
14 調整 3.19
15 多様性の受容 3.17
16 質問 3.16
17 傾聴 3.13
18 問題発見 3.12
19 活動の推進 3.11
20 資源の活用 3.11
■下位20項目(キーパーソンと管理者の両者平均)

下位20項目にも目立った特徴があります。

「影響をあたえる」は逆に少なくなり(3項目)、「事をなす」(9項目)および「人をいかす」(8項目)が多くなっています。

しかも、下位10項目に絞り込むと、「人をいかす」が7項目もあります。

このことから、メンバーの指導・育成とチームづくりといった「人をいかす」行動が特に弱く、さらに、目標設定、目標達成活動、問題解決といった「事をなす」行動も弱いといえます。

順位 リーダー行動 両者平均
31 連携体制づくり 2.98
32 実行計画の立案 2.97
33 課題形成 2.92
34 改善 2.89
35 合意形成 2.89
36 見える化 2.88
37 役割分担 2.87
38 原因分析 2.86
39 コーチング 2.84
40 評価 2.84
41 解決策立案 2.78
42 育成目標の設定 2.74
43 動機づけ 2.68
44 チームの約束事 2.66
45 叱る 2.64
46 OJTの評価 2.55
47 OJT計画の立案 2.51
48 ビジョン形成 2.50
49 目的の共有 2.49
50 キャリア開発の支援 2.49

 

■総じていうと

リーダーシップとコミュニケーションは発揮できている一方で、メンバーの指導・育成とチームづくりはあまり発揮されていません。また、目標設定、目標達成活動、問題解決についても不十分です。

このことから、キーパーソンや管理者に対して、「人をいかす」および「事をなす」スキルを、(これまで以上に)強化していく必要があります。

優先すべきは、「人をいかす」スキルですが、メンバーの指導・育成やチームづくりのベクトルは、職場の目標達成にあることを鑑みれば、「事をなす」スキルもセットで強化することが大切です。

■次回は

キーパーソン、管理者それぞれについて、リーダー行動の強みと弱みを詳しく紹介します。

 

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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)

斎田真一(かえる先生)

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