問題発見・解決力の調査と考察(3)完

■はじめに

私ども「株式会社トレイク」では、職場リーダーを対象に、問題発見・解決力を強化するトレーニング型の研修を実施しています。

このたび、問題発見・解決力に関する簡易診断ツールを開発して調査を行いましたので、その結果と考察について3回シリーズで紹介します。

第1回はこちら(調査概要について)
第2回はこちら(問題解決の能力間の相互作用について)

■第3回(最終回)のテーマ

第3回は最終回。問題発見・解決に関する知識・思考力が高い方は、 具体的にどのような点で優れているのかを明らかにし、そこから問題発見・解決力を強化するための方向性について考えます。(調査・検討は次の手順で実施)

(1)問題解決の知識・思考力について客観式テストを実施
(2)テストの高得点者に対して、問題解決に関する自己診断(36設問)との相関を発見
(3)問題解決力を高めるための方向性を検討

■高得点者にみられる特徴

上記(1)(2)から、高得点者には次の特徴が、”強く”みられました。

(1)あるべき状態に照らして、課題の優先度を判断している
(2)問題解決行動をとっているときや終えたあと、確認・振り返りを行っている

相関の高い具体的な設問は、上図のとおりですが、以下に整理します。
( )内は設問番号

  • 課題の優先度を決めるとき、あるべき状態に照らして判断している(E-3)
  • 問題解決行動をとっているとき、逐次、問題や原因が解決されつつあるかを確認している(C-3)
  • 問題解決行動を終えたとき、あるべき状態に到達したかを確認している(F-5)
  • 問題解決行動を終えたあと、課題や解決策が正しかったのかを振り返っている(B-6)
  • 問題解決行動を終えたあと、あるべき状態に到達した要因(しなかった要因)を振り返り、今後に生かしている(F-6)

■要約すると…

一般的に、取り組むべき課題の優先度を決めるときは、「重要性が高く、緊急性も高い」課題から取り組むべしといわれますが、高得点者の場合、重要性や緊急性を考える拠り所を、あるべき状態に求めていることが考えられます。

次に、問題解決に向けた行動をとっているときは、問題が解決されつつあるのかを確認しています。解決を終えた直後は、あるべき状態に到達したかを確認(評価)しています。

それだけではなく、解決を終えてしばらくしたのち、そもそも取り組んだ課題や解決策が正しかったのか、あるべき状態に到達した要因(達成しなかった要因)は何か、なども振り返りっています。

要するに、問題発見・解決について、全体と部分の関係を理解したうえで、「計画・実行・評価・改善」のPDCAプロセスを回していることが特徴です。また、演繹的思考をベースに、合理的な判断基準を持ち合わせていることも特徴です。

マネジメント力≒問題発見・解決力

このような図式も透けて見えます。

■問題発見・解決力の強化にむけた方向性

今回の調査からわかった点を整理すると、第2回では次の3つが明らかになりました。

  • その問題は解決すべきか? の段階から判断した経験が少ない
  • いざ複雑な問題に遭遇したら論理的思考をベースに粘り強く因果関係を構築することが苦手
  • 本質的原因を追究するための情報収集・分析力が非効率的

また、第3回では、問題解決に関する知識・思考力の高得点者の特徴として、次の2つが明らかになりました。

  • あるべき状態に照らして課題の優先度を判断している
  • 問題解決行動をとっているときや終えたあと確認・振り返りを行っている

これらをもとに、問題発見・解決力を 強化するための方向性は

  • 組織レベル、職場レベル、個人レベルなど、必ずあるべき状態を設定する
  • あるべき状態をよろどころに、その問題は解決すべきか?を判断する
  • あるべき状態をよりどころに、課題の優先度はどれくらいか?を判断する
  • 問題に関する情報を効率的に収集する
  • 因果関係で論理的に構造化したうえで、本質的な原因を追究する
  • 問題解決行動をとっているときは、あるべき状態に照らして進捗管理する
  • 問題解決行動を終えたあとは、結果を評価する
  • 問題解決行動を終えたあとは、プロセスを振り返り、ノウハウとして蓄積する

ということがあげられます。

これらは、問題発見・解決の学習において、当たり前の項目ばかりですが、私たち株式会社トレイクでは、これら各要素の関係性に着目し、また実践で役立つことも意識して、連動性のある学習プログラム・学習ツールを開発したいと思います。

管理者や職場リーダーにおけるコンセプチュアル・スキル≒問題発見・解決力、という原則に従えば、(問題発見・解決研修以外にも)マネジメント研修(基本編・応用編)、リーダーシップ研修、部下指導・育成研修、職場活性化研修などでも、上記の方向性を反映したいと思います。

学びをトレーニングして前へいく。

kaeru-sensei

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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)

http://www.traic.co.jp

斎田真一(かえる先生)

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