問題発見・解決力の調査と考察(1)

■はじめに

私ども「株式会社トレイク」では、職場リーダーを対象に、問題発見・解決力を強化するトレーニング型の研修を実施しています。

(研修体系はこちら

このたび、問題発見・解決力に関する簡易診断ツールを開発して調査を行いましたので、その結果と考察について3回シリーズで紹介します。

第1回は、「調査概要」の解説です。

調査結果と考察は第2回以降で紹介します。

(第2回はこちら)

■調査を行うことになった背景

私どもトレイクでは、「職場リーダーのための問題解決研修」を実施しています。また、マネジメント研修やリーダーシップ研修のなかでも、「問題解決」の学習を行っています。

しかし、問題発見・解決力は、ビジネスパーソンに必須の能力でありながらも、「向上させるのが難しい…」という言葉をよく聞きます。

その理由として、「問題が発見できない」「原因分析ができない」「解決策立案ができない」「うまく行動に移せない」など、問題解決プロセスの各要素に弱みを抱えていることがあります。

また、「問題は発見できるが、原因分析が苦手」「原因分析はできるが、解決策立案が苦手」「解決策を立案したが、うまく実行に移せない」など、問題解決プロセスにおいて、ある要素は強いが、別の要素が弱いため、要素同士の掛け算である総合力が高まらないということも見られます。

逆に言うと、問題発見・解決力を高めるためには、①問題解決プロセスの各要素を高めるとともに、②要素間の相互作用も高める必要があります。

野球に例えると、①バッティング力やベースランニング力をそれぞれ高めることは大切ですが、②一連の流れのなかで両方の能力を総合的(足し算ではなく掛け算的に)に高めてこそ、「攻撃力」が高まるといったものでしょう。

そこで、私どもでは、問題発見・解決力について、後述する診断を開発し、実態調査を行いました。(調査に協力していただきました皆さま、ありがとうございます。)

診断は簡易なものですから調査結果や考察は参考程度にご覧ください。とはいうものの、問題発見・解決力を高める”手がかり”になれば幸いです。

■調査概要

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調査期間:2017年2月25日~3月20日
調査場所:企業の研修会場、大学授業等
調査対象:企業等の管理者、職場リーダー、社会人学生等 102名
調査方法:質問式アンケート調査(36設問)とテスト式調査
調査項目:下記参照
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■調査項目(抽出手順と項目内容)

▼手順1

まず、問題解決プロセスに則り、4つの能力を設定。

1.あるべき状態設定力と現状把握力
*あるべき状態を設定・確認する能力
*現状を事実で正しくとらえる能力

2.問題発見力と原因分析力
*問題を発見・設定する能力
*原因を究明する能力

3.課題形成力と解決策立案力
*取り組むべき課題をつくりあげる能力
*適切な解決策を立案する能力

4.問題解決に向けた行動力と評価・改善力
*問題解決を目指した行動を取れる能力
*行動結果を評価し、行動プロセスを改善する能力

▼手順2

上記の4能力は相互に作用するため、4能力を組み合わせた6群を設定。

A群:問題発見力と原因分析力/課題形成力と解決策立案力
B群:課題形成力と解決策立案力/問題解決行動力と評価・改善力
C群:問題発見力と原因分析力/問題解決行動力と評価・改善力
D群:問題発見力と原因分析力/あるべき状態設定力と現状把握力
E群:課題形成力と解決策立案力/あるべき状態設定力と現状把握力
F群:問題解決行動力と評価・改善力/あるべき状態設定力と現状把握力

▼手順3

群ごとに6つの設問=計36設問を設定(下記に設問例を記します)。設問は、「とても当てはまる」から「まったく当てはまらない」まで5段階で回答。

A群
<例>問題を発見したとき、「解決するか・しないか」について考えている。

B群
<例>課題や解決策をコトバにするとき、「誰が、何を、どうする」など、行動可能な状態まで具体化して表現している。

C群
<例>何としても解決すべき問題を発見したとき、そのまま放置せず、必ず解決行動に移している。

D群
<例>問題を発見したとき、あるべき状態を探したり、(あるべき状態が無い場合は)あるべき状態を設定している。

E群
<例>形成した課題は、あるべき状態と連鎖している。

F群
<例>問題解決行動をとる前に、あるべき状態を確認してから行動に移す。

▼手順4

問題発見・解決力に関して、次を把握できるテスト(筆記、実技)を実施。

・知識…問題解決プロセスとプロセスごとの技法を、どれほど知っているか?
・思考…問題構造化、原因分析、課題再定義、解決策立案が、どれほどできるか?
・態度…問題意識・危機意識・当事者意識が、どれほどあるか?
・行動…問題解決に向けた行動や、結果やプロセスの評価・改善を、どれほど行ったか?
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■結果と考察

以上の調査内容に対して、第2回以降で結果と考察を紹介します。

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斎田真一(かえる先生)

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