リーダー行動50についての調査と考察(2)

■はじめに

私ども、株式会社トレイクでは、管理者・職場リーダーに必要な「50のリーダー行動」について、「診断ツール」を開発して調査を行いました。

調査対象は2つ。

①キーパーソン自身のリーダー行動(キーパーソンにとっての自己診断)
②キーパーソンからみた上司=管理者のリーダー行動(キーパーソンによる他者診断)

この調査の結果と考察を、シリーズで紹介します。

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■第2回

第2回は、キーパーソンと管理者について、それぞれ、リーダー行動の強みと弱みを考えます。

■キーパーソンの上位20項目

分野別では、「影響をあたえる」が多く(11項目)が最多で、「事をなす」(5項目)および「人をいかす」(4項目)を上回っています。

さらに、上位10項目に絞り込むと、「影響をあたえる」が7項目もあります。

順位 リーダー行動 キーパーソン平均
1 報連相 4.03
2 前向き 3.96
3 コンプライアンスの遵守 3.82
4 説明 3.81
5 助け合い 3.71
6 状況把握 3.69
7 任せる 3.66
8 決断 3.64
9 信念 3.63
10 傾聴 3.54
11 上司の補佐 3.53
12 褒める 3.52
13 権限の行使 3.49
14 問題発見 3.46
15 質問 3.45
16 多様性の受容 3.43
17 活動の推進 3.41
18 調整 3.41
19 資源の活用 3.38
20 相乗効果 3.36

■管理者の上位20項目

分野別では、「影響をあたえる」が多く(12項目)が最多。「事をなす」(5項目)および「人をいかす」(3項目)を上回っています。

上位10項目に絞り込むと、「影響をあたえる」が9項目と圧倒的です。

順位 リーダー行動 管理者平均
1 コンプライアンスの遵守 4.12
2 権限の行使 4.10
3 報連相 4.06
4 役割認識 4.03
5 決断 3.99
6 信念 3.98
7 上司の補佐 3.96
8 前向き 3.92
9 褒める 3.86
10 任せる 3.84
11 助け合い 3.81
12 状況把握 3.81
13 説明 3.80
14 調整 3.77
15 役割分担 3.75
16 率先垂範 3.73
17 多様性の受容 3.71
18 質問 3.65
19 目標設定 3.62
20 資源の活用 3.61

■上位項目のまとめ

キーパーソン、管理者ともに、「影響をあたえる」分野(リーダーシップ、コミュニケーション)が相対的な強みといえます。

「影響をあたえる」分野について詳しくみると……

平均点の合計は管理者の方が高いことから、(キーパーソンよりも)リーダーとしての資質・行動を持ち、効果的なコミュニケーションを発揮して、チームに影響を与えていることがうかがえます。

管理者の具体的なリーダー行動については、(キーパーソンには出現しない)「権限の行使」(2位)、「役割認識」(4位)、「率先垂範」(16位)が登場します。権限を有する管理者ならではの高い意識と行動を感じます。

「人をいかす」分野に目を移すと……

両者とも、「コンプライアンス」「助け合い」「多様性の受容」が上位20項目に入っています。チームの活性化に配慮していることがうかがえます。

 

■キーパーソンの下位20項目

分野別では、「人をいかす」(9項目)と「事をなす」(8項目)が多く、「影響をあたえる」(3項目)が少なくなっています。

しかも、下位10項目に絞り込むと、「人をいかす」が7項目もあります。

順位 リーダー行動 キーパーソン平均
31 意識改革 3.21
32 連携体制づくり 3.21
33 合意形成 3.13
34 改善 3.06
35 原因分析 3.04
36 コーチング 3.04
37 課題形成 3.03
38 評価 3.01
39 率先垂範 3.00
40 解決策立案 2.96
41 チームの約束事 2.84
42 動機づけ 2.83
43 育成目標の設定 2.81
44 役割分担 2.71
45 目的の共有 2.65
46 OJTの評価 2.64
47 叱る 2.61
48 OJT計画の立案 2.54
49 ビジョン形成 2.53
50 キャリア開発の支援 2.43

■管理者の下位20項目

分野別では、「人をいかす」(10項目)が、「事をなす」(6項目)と「影響をあたえる」(4項目)を圧倒しています。

下位10項目に絞り込むと、「人をいかす」が6項目あります。

順位 リーダー行動 管理者平均
31 ティーチング 3.48
32 取りまとめ 3.48
33 雰囲気づくり 3.48
34 改善 3.46
35 実行計画の立案 3.44
36 原因分析 3.38
37 評価 3.38
38 合意形成 3.37
39 コーチング 3.36
40 育成目標の設定 3.34
41 叱る 3.34
42 解決策立案 3.29
43 見える化 3.24
44 動機づけ 3.20
45 キャリア開発の支援 3.17
46 チームの約束事 3.14
47 OJT計画の立案 3.11
48 ビジョン形成 3.10
49 OJTの評価 3.09
50 目的の共有 2.96

■下位項目のまとめ

キーパーソンおよび管理者とも、「人をいかす」(メンバーの指導・育成、チームづくり)が相対的な弱みです。

「人をいかす」分野について、具体的なリーダー行動をみると……

キーパーソンは、「キャリア開発の支援」「OJT計画の立案」「OJTの評価」「育成目標の設定」が下位にあります。彼らは、これらの権限を有していないことから、下位にあるものと思われます。

しかしながら、権限と責任を有する管理者も、同じ項目が下位に並んでいます。さらにいえば、「目的の共有」が最下位にあることは、管理者として問題であるといわざるを得ません。

「事をなす」分野に目を移すと……

「ビジョン形成」が、キーパーソン(49位)と管理者(48位)ともに低くなっています。

■総じていうと

キーパーソンおよび管理者ともに、リーダーとしての役割を認識し、前向きにその役割を果たそうとしています。また、積極的にコミュニケーションをとり、チーム活動をうまく機能させようとしています。

一方、活力あるチームづくりについては、配慮があるものの不十分です。メンバーの指導・育成は、効果的に機能していません。チームにビジョンが無く、それゆえ目的の共有が曖昧になり、指導・育成にも指針がないことが考えられます。

今後は、強みであるリーダーシップとコミュニケーションを継続して発揮する一方で、人をいかすためのリーダー行動を強化することが課題です。

■次回は

キーパーソンと管理者の点数ギャップについて紹介します。

 

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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)

斎田真一(かえる先生)

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