職場リーダーのための「計数による経営感覚養成研修」
■職場リーダーのための「計数による経営感覚養成研修」
職場リーダーのための「計数による経営感覚養成研修」を受講した皆さん、研修おつかれさまでした。
研修の冒頭で「財務研修じゃないですからね~」とお伝えしたところ、「ほっ…」とした表情を浮かべていましたね(笑)
■研修のねらい
この研修は、損益計算書や貸借対照表の読み方だけを学ぶものではありません。
そもそも、「計数による経営感覚」とは、経営活動に関係する数値・計算・分析を理解することです。
そこで、この研修では、全社戦略・事業戦略・機能別戦略・業務について理解したうえで、それらが計数と関係していること、計数と計数も連動していること(目標連鎖など)を、さまざまな演習を通じて理解し、経営感覚を高めてもらいました。
例えば、経営計画や経営統制について、売上高・営業利益・投資額の点から把握しました。また、業務の生産性について、ヒト(人員数・人件費等)、モノ(物品数・物品費等)、時間(作業時間・残業時間等)などから把握しました。
■受講後の感想
たしかに、経営活動は、その成績表である損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書にまとめるため、結果的に財務の学習は必須となります。
ただ、財務諸表では表せない管理会計上の数値や、戦略や業務の管理指標としてKPIの設定と進捗管理にも役立つ学習にしました。
研修の最後に皆さんから感想を聞いたところ、「計数と経営活動の関係がわかってきた」「経営を数値面からとらえることができた」「財務を学ばなきゃ」「KPIを的確に設定するためには業務の分解が大切だとわかった」といった声があがりましたね。
■少しだけおさらいを…
皆さんの成長のために、ここで少しだけおさらいを。
研修の冒頭では、簡単な計算問題を解くことで、計数による経営感覚をつかんでもらうとともに、この研修のレベル感(まずは拒絶感を無くし、でも学習を進めると奥が深い)をつかんでもらいました。
計算問題は、次の設問からスタートしましたね。
- 100と200では、どちらが大きいか
- 1/2と1/3では、どちらが小さいか
- 30%と50%では、どちらが100%に近いか
- 30%と50%の差は、どれくらいか
- 30を300で割り、分数で表しなさい
- 30を300で割り、百分率(%)で表しなさい
「こんな簡単な設問から?」「ひっかけ?何かウラがあるの?」「あれ、どう計算するんだっけ?」といった心の声がありましたね。
そして、計算問題は、経営活動と紐づきはじめました。
- 売上高が、2018年度3億円、2019年度3億円なら、2019年度は前年度比何パーセントか
- 売上高が、2018年度20億円、2019年度30億円なら、2019年度は前年度比何パーセントか
- 売上高が、2018年度40億円、2019年度50億円なら、2019年度は前年度比何パーセント増加したか
- 費用が、2018年度2億円、2019年度は20%減らしたなら、2019年度はいくらか
- 利益が、2019年度5億円、2020年度は前年度比20%増加させるなら、2020年度はいくらか
ここでは、売上高・費用・利益という用語が出てくるとともに、増減率(成長率)を把握する感覚をつかんでもらいました。
- 売上高が400億円で、費用が240億円だと、利益はいくらか
- 売上高が800億円で、利益が200億円だと、売上高利益率は何パーセントか
- 売上高が800億円で、利益が200億円だと、売上高費用率は何パーセントか
- 利益が100億円で、売上高利益率を20%にするためには、売上高はいくら必要か
ここでは、利益や費用の構成比率を把握する感覚をつかみ、そこから逆算して必要売上高を把握する感覚を養いました。
皆さんからは、「売上高・費用・利益は身近だね」「損益計算きた~!」といった声がありましたね。
計算問題は、さらに発展します。
- 100万円の元手で一年間に1,000万円売り上げたとすると、元手の回転率は何回転か
- 20億円の総資本で一年間に100億円の売上高があれば、総資本回転率は何回転か
- 現金で仕入先から商品を仕入れた場合、現金・預金の増減と、棚卸資産の増減はどうなるか
- 商品を掛けで販売し、その売掛金を回収しないと、売上債権の増減はどうなるか
- 商品を掛けで仕入れ、その買掛金を支払わないと、仕入債務の増減はどうなるか
- 建物・機械・土地を購入すると、固定資産の増減はどうなるか(減価償却は考慮しないこと)
- 返済期間が1年未満の借入金を増やすと、短期借入金の増減はどうなるか
- 返済期間が1年を超える借入金を返済すると、長期借入金の増減はどうなるか
ここでは、貸借対照表に登場する科目をあえて用いて、バランスシートの感覚を養いました。
皆さんからは、「回転率ってなに?」「売掛金・買掛金・固定資産・借入金といわれてもイメージがわかない…」という動揺があがりましたね。
でも、科目の理解というより、バランスシートの感覚を養成することに集中してもらいました。
そして、計算問題は、分析へと移ります。
- 現金・預金が増え、短期借入金が減ると、財務の安全性はどういえるか
- 固定資産が増え、自己資本が減ると、財務の安全性はどういえるか
- 負債を増やさず、自己資本を増やすと、財務の安全性はどういえるか
さらに、管理会計(損益分岐点分析)も登場しました。
- ティッシュの箱を買う場合、200枚入り200円と180枚入り190円では、どちらが得か
- 商品の販売単価100円、仕入単価60円で、販売数20個の場合、利益はいくらか
- 商品の販売単価100円、仕入単価60円で、販売数20個の場合、固定費1,000円なら、損益はどうなるか
- 商品の販売単価120円、仕入単価90円、固定費1,800円なら、損益分岐点売上高はいくらか
- 商品の販売単価120円、仕入単価90円、固定費1,800円なら、損益分岐点販売数量はいくつか
ここでは、単位当たり数値を把握することがコツでしたね。
研修冒頭ではありませんが、KPIつくりにもチャレンジしましたね。
- 家から職場までの行程を分解し、要素ごとに管理指標を設定しなさい
- いま行っている業務を分解し、要素ごとに管理指標を設定しなさい
- 目標達成にむけた実現策を分解し、要素ごとに管理指標を設定しなさい
演習の最後は、総合問題の事例研究に取り組んでもらいました。
- A社の事例文を読み込みなさい
- A社の今年度の経営活動の結果について、財務分析を行いなさい
- A社の財務分析にもとづき、経営状況はどういえるか
- A社の次年度の財務目標を込み込み、A社の方向性(戦略)を検討しなさい
- A社の次年度の方向性を実現するための業務について、KPIを設定しなさい
この事例研究では、定性的な経営活動と定量的(財務・KPIなど)との関係性について、より理解を深めました。
これからも計数による経営感覚を磨き、皆さんの職場マネジメントに役立ててくださいね。
皆さんの活躍を応援しています。
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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)
斎田真一(かえる先生)
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