ひと月終えて(2019年08月)

■社史を楽しみに

8月は、社歴の長い会社で仕事をする機会がありました。

会社が長く存続しつづけることは、純粋にすごいことですね。

その歩みをまとめた社史の刊行物は、創業者の想いや従業員の苦労と情熱が凝縮されており、読んでいて楽しくなります。

根っから教育屋の私としては、その社史を物語風に脚色できないか?そして理念浸透や経営戦略の学習教材にできないか?と考えてしまいます。「ただ読んで楽しめばいいのに」とあきれる仲間をよそめに。

■教育は伸びしろの大きい中堅・若手社員から

社歴が長くても、社員教育の歴史は浅いという会社も少なくありません。

そのような会社から、「どの層から教育をはじめるべきか?」と相談を受けたとき、私は「(管理職やベテランからではなく)まず中堅・若手からはじめてはいかがですか」と答えるようにしています。

教育システムが整っていない会社では、”技術はベテランを見て盗むもの”という雰囲気が残っています。高スキル者の技術を可視化・定量化して、継承に役立てようとしているところもあります。技術を維持・向上させるための努力には頭が下がる思いです。

その一方で、自分たちへ期待される役割についてはきちんと考えたことがなく、ビジネススキルについても本格的に学んだことがありません。このままでは、伸びしろの大きい中堅・若手社員の可能性を摘みとってしまうことにもなりかねません。

そこで社員教育となります。

特に、気づきを広げ、体系的にスキルアップが図られる集合研修に期待が集まります。

集合研修では、まず、「中堅社員・若手社員に期待される役割」を一緒に考えます。その後、「課題形成・課題解決」「コミュニケーション」「部下・後輩指導」「チームワーク」などのスキルを強化します。

はじめて受ける研修に、参加者は怪訝そうな表情を浮かべるものの……

「自分の役割はそうだったのか!」

「そんなやり方・考え方があるのか!」

「研修で学んだことと今までの自分のやり方・考え方は同じ。自信になった」

という声が、徐々にあがりはじめます。

■ギャップ

ところが、中堅・若手社員が学びを深めるほど、職場の現状・管理者の資質や能力・自らの処遇について不満が鬱積します。

そう、彼らは”知ってしまった”のです。理想と現実のギャップを。

初めて社員教育を行う会社の経営者や教育担当者のなかには、「教育を受けた者が、理想と現実のギャップを知ってしまうのが怖い」という方がいます。

たしかに、こうしたギャップが会社全体の大きなひずみとなり、意欲低下、社内の不活性、あげく退職増加などにつながりかねません。だからといって、教育を行わないと、知識・思考・技能・態度など、多方面で停滞を招くことになります。企業の存続・成長を阻む”内なる壁”となってしまいます。

ギャップは解消するしかありません。

そのための次なる手は、管理職とベテランに向けた教育、頑張った人が処遇に反映される人事制度の見直し、理念体系・経営戦略と組織・人事政策との整合へと、ステップを踏みます。

私たちトレイクも、ギャップを解消するお手伝いを通じて、お客様の社史にも残らない小さな貢献をしつづけたいと思います。

■あとがきにかえて

8月は、旧友との再会が、いくつかありました。

今年2月に高校の同窓会に出席したのですが、30数年ぶりに再会した旧友と、8月に今度は仕事で会う機会がありました。

お互い立場は違えど、二人で立ち話をするだけで立場と時代のギャップを埋めていける雰囲気が、なんとも心地よく感じます。

また、前職でお世話になった方々との再会もありました。

皆さん人生の大先輩ですが、経営者として新規事業を模索中の方、退職して新たな資格・新たな仕事にチャレンジしている方、仕事と家庭のキャリアの節目に立ち明るく乗り越えようとしている方などから、大きな刺激と元気をいただきました。

歳をとったといって、できないことを嘆くのではなく、できることを精一杯楽しむ姿に、ただただ敬服するばかりです。

kaeru-sensei

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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)

斎田真一(かえる先生)

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