管理者のための「教育ゲーム」

数会合に渡って「管理者研修」を受講者した皆さん、研修おつかれさまでした。

職場マネジメントの考え方や技術についてワークショップ形式で段階的に学習してきましたが、変化に適応する大切さや、戦略策定および職場運営の技術を修得できたことが収穫だったと思います。

■マネジメント研修の最後は教育ゲームで

最終会合では、これまでの学習を再現・強化することを目的に、教育ゲームを行いました。

ゲームの内容は次のとおり。
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(1)チーム活動について目標設定と計画立案を行う
(2)その計画を他チームに実施させるため指令
(3)活動の観察
(4)プロセスと結果の評価と検証
(5)改善策の策定と再計画~再実施~評価・検証
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以下、皆さんの状況と私の感想を紹介します。

(1)目標設定、計画立案

ここでは、ゲーム開始早々、壁にぶつかりましたね。自分たちが経験したことのないことを他人に実施させる戸惑い、未知なる活動に対する目標設定と計画立案の難しさです。根拠の無い目標を設定してしまい、実績と大きなかい離が生じてしまいました。もしこれが仕事場面だったら、関係者に大きな迷惑を与えてしまいます。打開策は「研修講師が保有する情報を遠慮なく収集する」こと。職場に当てはめると、上司・部下、関係部門、お客様からなんでも情報収集する気概が大切です。

(2)指令

ここでは、自チームが立案した計画を他チームに実施させるための「指令」を出してもらいました。指令内容は端的でわかりやすかったと思います。ただ、「動機づけ」や「教育」の観点が抜けていました。指令するだけで良いパフォーマンスを期待できるほど「ヒト」という資源は単純ではありません。感情と能力に左右される取扱いが難しい資源です。そこで、指令&動機づけ&教育はセットで行うことが大切です。指令とともに、この仕事が必要である理由を大局的な観点と本人のメリット面から説明します。手本(やってみせる)、練習(やらせてみる)も行います。

(3)観察

ここでは、他チームの実施している作業を熱心に観察していましたね。計画チーム1名につき作業チーム1名を観察するという決めごとは、観察の正確さに役立っていました。ただし、職場というものは、複数の人と仕事が相互に作用するシステムです。1対1で局所的にとらえると、人と人、仕事と仕事、人と仕事の相互作用をとらえることができません。管理者は職場全体の動的な動きをとらえる眼力も必要です。

(4)評価と検証

ここでは、観察結果を持ち寄り、活動「プロセス」を評価する姿勢に感心しました。半面、「結果」の評価に対する意識が弱かったようです。たとえば、「目標に対する実績は?」と数値を純粋に確認する意識が欠けていました。目標よりも実績が低かった場合、「実績そのものが良くなかったのかな?」「目標が高すぎたのかな?」と自分に問いかけ、意味づける意識も抜けていました。結果の意味づけを誤ると、プロセスの評価は的外れになるので注意が必要です。一方、検証段階では、効率的なインタビューが印象的でした。作業を観察して問題点を絞り込み、その原因について仮説を立て、検証するために作業チームへ効率的なインタビューを行っていましたね。以前の会合で「問題解決」を学習した際に「問題状況のインタビュー」をトレーニングした賜物といえるでしょう。

(5)改善

ここでは、検証を評価を適切に行ったことから、改善点も明確になりましたね。作業方法の見直し、担当者の組み替え、精緻な工数の設定などが行われ、次の計画(Next Plan)にも反映されていました。

■長い研修の旅のおわりに

「管理者のためのチーム活動ゲーム」は、マネジメント・サイクルと対人配慮、言い換えれば「仕事のマネジメント」と「人のマネジメント」を融合させた総合ワークとして、長い研修の最終会合に実施しました。

職場においては、仕事のマネジメントと人のマネジメントを切り離して考えることはできないはずです。たしかに、状況にあわせて仕事のマネジメントと人のマネジメントに濃淡をつけなければならないこともあるでしょう。しかし大切なことは、「いま置かれている状況下ではどちらを色濃くするのか」「どのような判断基準で濃淡をわけるのか」「その判断基準に義はあるか」の問いを立て、自分なりに答えを思索していくことです。行き着くところ、「職場のミッションとビジョン」の追求、「自分なりのマネジメントに関する持論」の形成といえるでしょう。

これからも、ともに成長を目指しましょう。

■皆さまの活躍を応援しています!
kaeru-sensei

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斎田真一(かえる先生)

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