職場リーダーのための「インバスケット&ファシリテーション研修」

■組織マネジメント、「わかる」「やってみる」「できる」

「職場リーダーのためのインバスケット&ファシリテーション研修」を受講した皆さん、研修おつかれさまでした。

疲労と充実の表情、興奮冷めやらぬ状態で、研修が終わっても教室を離れず受講仲間と感想を語りあう様子を見て、「プログラムを開発して良かったなぁ」と感じました。

研修コンセプトはいたってシンプル。

(1)組織マネジメントの基本的な考え方を理解する
(2)「ミニ・インバスケット演習」により、マネジメントの理解を深める
(3)「会議ファシリテーション演習」により、マネジメントの実践力を高める

つまり、徹底したトレーニングで、組織マネジメントについて「わかる」「やってみる」「できる」を目指す研修です。

<※研修プログラム> (左)1日目、(右)2日目

インバスケット・ファシリテーション研修(1日目) インバスケット・ファシリテーション研修(2日目)

■インバスケット演習は優れもの

1日目の「インバスケット演習」は、管理職の登用試験でよく使用されます。そのため、「研修で扱うのは避けたい」と考える教育担当者がいらっしゃいますし、そのお気持ちも理解できます。

しかし、インバスケット演習は、「業務処理力」の他にも「対人力」や「課題形成・解決力」など組織マネジメントに必要な能力を総合的にトレーニングできる優れた学習ツールでもあります。

■ミニ・インバスケットでマネジメント観を磨く

私どもでは、「膨大な情報を読み込むのが大変で、何もできないまま終わってしまった」という従来のインバスケット演習の不満を解消するため、簡易版のインバスケット(ミニ・インバスケット)を開発しました。これにより、短時間でも学習効果が生まれやすくなりました。

また、演習の進め方にも工夫を凝らしています。約60分の個人検討の後は、グループ検討に半日を費やし、理想の解答を思索します。

グループ検討では、人・組織・仕事を組み合わせた「相関図」を描いたうえで、指示文から上位方針を確認し、自分なりのマネジメント観も動員して仕事の優先度を決定します。そのうえで、関係者にわかりやすく指示・依頼したりメンバーを動機づけます。組織目標を達成するためには上司を賢く活用することもポイントです。

グループ検討は試行錯誤の連続です。みな準拠基準(判断の拠り所)が違うため、「理想の解答を」というテーマに触発されて、ものの見方・考え方、仕事観や人間観、成育歴や人生史に至るまで、それぞれの意見を交換します。

これにより、自分なりのマネジメント観を磨くことができるのです。

…とはいえ、制限時間で理想的な統一見解をまとめなければなりません。グループワーク自体が「組織マネジメント」でもあります。

■ファシリテーション演習は、緊張、自省、そして喜びと自信に

2日目の「会議ファシリテーション演習」では、すべての受講者が順番にファシリテーターを務めます。さらに、ファシリテーターのみ他にグループへ出張し、見知らぬメンバーを前にファシリテーションします。

模擬会議の開始当初は、声がうわずり、ホワイトボード・マーカーを持つ手が震える受講者も。逃げ出すことができない(笑)緊張感のある状況設定が特徴です。

ただ、1日目の演習でクラスの雰囲気が和らげることも重要なポイント。「失敗大歓迎」という標語のもと、安心してファシリテーションをトレーニングができます。安心感は自分らしさの発揮につながります。上手くいかない箇所は謙虚に自省し、上手くいった箇所は喜びと自信になります。

会議ファシリテーションのお題は、1日目のインバスケット演習の中身を使用するため、混乱することなく、集中して演習に取り組めます。

■会議が前に進んでいる感、会議に参加している感

模擬会議が進むと、メンバー間で利害対立が発生します。利害が対立するよう設計されているからです。ファシリテーターは、本音で語りあう状況づくりに神経をとがらせます。メンバーの発言を図解で整理することに思考をめぐらせます。

本音を引き出す「質問」と「傾聴」や「図解思考・図解表現」など、ビジネススキルの重要性をまざまざと実感します。

そうしているうちに、意見の「発散」「収束」「合意形成」が着実に進み、これが、「会議が前に進んでいる感」や「会議に参加している感」へつながることをリアルに感じとれます。

受講者の「疲れた…」「もう十分…」「でも充実していた」「ぜひ職場で生かしたい」という言葉に偽りも飾りもありません。私も、研修の場における「知」と「情」の形成と相互作用の重要性を、あらためて実感しました。

■今後の啓発点

最後に、参加した皆さんに今後の啓発点をお伝えします。

  1. マネジメントとしての判断軸を形成・強化してください。
    組織、所属部門、自分自身はどうあるべきか思索し、自分なりの答えを見つけて判断基準にしてください。また、判断結果を検証し、判断するときの思考プロセスや判断基準そのものを磨き上げてください。
  2. 人の配慮・活用を意識してください。
    部下・後輩について、その気持ちに配慮するとともに、適切な職務を割り当て、能力が足りない点は指導・育成を図り、上手に活用してください。対人力は経験が大切です。まだ見ぬ将来の部下・後輩のためにも、今から経験を積み重ねてください。
  3. 自律的で創造的なチームづくりを行ってください。
    成熟化した職場メンバーをいっそう活性化させるためには、中立的な立場からプロセスを管理するファシリテーションが有効です。今回の研修で得たファシリテーションのノウハウを生かして、職場で繰り返し実践トレーニングを積んでください。
■皆さまの活躍を応援しています。

kaeru-sensei

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株式会社トレイク(TRAIC.Ltd)

http://www.traic.co.jp

斎田真一(かえる先生)

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