助産師外来の開設プロジェクト・リーダー

私たちトレイクでは、誰でも発揮できる「等身大のリーダーシップ」について、事例とポイントを紹介しています。

■助産師外来の開設プロジェクト・リーダー

病院の産婦人科病棟で助産師として勤務するその方は、助産師外来の開設に向けたプロジェクトチームのリーダーとなりました。

プロジェクトチームの初会合。メンバーから不満と不安の声があがります。

「本来業務で忙しいのに…」

「どうせ掛け声倒れだろう…」

「一体何をすればいいのか…」

リーダーとしての初仕事は、後ろ向きな発言を笑顔で受けとめ、メンバーと夜を徹して本音で語り合うことでした。「自分達が大切にしたいことは何か」「新設する外来は誰に何の価値を提供すべきか」について。

「誰に何の価値を提供するか」を決めるということは、自分たちのアイデンティティを規定することになるため、自然と話し合いに力がこもります。

■参画、道筋、手順

変革のリーダーシップにおいて、メンバーの心をつかむのは、やはり「絵を描く」話し合いに参画させることです。

プロジェクトのミッションが決まり、ビジョンも見えたら、流れるように重点課題が形成されていきます。描いた絵を実現するための「道筋」です。

「筋」は絶望の闇に光をさします。進むべき道が定まると、事態は一気に動きはじめます。人というのは、筋のある物語に納得しやすいものです。だからこそ課題解決の立案では「手順」が大切です。

■想い、思い、志

しかし「筋」の通った説得には抵抗したくなるのも、また人。

院長、事務長、ドクター、看護部長なと、そうそうたる面々に説得を試みますが、理屈だけでは動きません。

変革を実現する場合、巻き込む範囲は広範になります。抵抗勢力も含めて、岩を動かすのは「情」だったりします。情には「魂」が込められていることが大切です。

このリーダーは、「地域の母子を守る最後の砦になりたい」という積年の想いを語り出します。妊婦が安心して通える外来を求めていること、この病院にはその可能性があること、地域発展のカギを握ることなど。どれも長い年月をかけて醸成された想いをこめて。

コトバが加わると、想いは、「思い」に変わります。

そして、思いが「志」へ変貌すると、もはや頑丈です。どんなにくじけそうな時も、あきらめずにやり遂げる原動力になります。

後日、助産師外来は無事開設しました。妊婦から高い満足を得ているそうです。病院スタッフの憧れの仕事にもなりました。

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斎田真一(かえる先生)

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